『Newsweek』ルポ 特別養子縁組


Illustrated by うたの

Newsweek (ニューズウィーク日本版)2020年12/22号』で「特別養子縁組」が特集されました。TBSの元アナウンサーで現在は同社報道局の久保田智子さんが、出産ではなく養子を迎えてお母さんになられた話を軸に、特別養子縁組、普通養子縁組、里親の制度的な違いや社会の現状もあわせて伝えています。

久保田さんは20代の時に自分が不妊症であることを知りましたが、いつか結婚して子どもを育てたいという希望を捨てることはなく、養子縁組という選択肢も早い段階から自分の中にあったと言います。

養子縁組を決断されるまでにはさまざまな思いがあったことと思いますが、記事からはごく普通のしあわせな家庭を感じました。そして、久保田さんが言われていること、心配されていること、喜ばれていることは、ご自身で出産された方と同じことであることに気づかされました。

養子縁組を仲介した団体からは「性別を選べないのはもちろんのこと、あとになって何らかの障害が出てくるかもしれませんが、その可能性を受け入れられますか」と厳しい質問が重ねられ、久保田さんはどんな子どもでも受け入れる覚悟を追求されているように感じたそうです。

赤ちゃんが生まれる時に久保田さんが思われていたのは「とにかく元気に生まれてきてほしい。もう、本当にそれだけ」でした。赤ちゃんが家に来た当初、久保田さんは「お母さんって、これで合っているのかな」と自信がないのは「出産を経ていないため」と思っていましたが、それは出産されたお母さんなら誰でも思うことです。そして、時間を積み重ねることで今はたったひとつの新しい関係性を一緒に作っていると感じておられます。

養子縁組に対するイメージが一変する読み応えのある記事です。養子縁組というテーマを一般誌が取り上げるのは今はまだめずらしいかもしれませんが、主要な一般誌で特集が組まれるまでに認識が変わってきていることを考えると、これからは増えていくと思います。それらの報道が養子に対する先入観を取り払い、オープンな議論を促すものになることを期待します。

<参照>
■小暮聡子、「ルポ 特別養子縁組が生む幸せのカタチ」、Newsweek (ニューズウィーク日本版)2020年12/22号