2012年に『Nutrition Reviews』に掲載されたスペインの研究チームによる論文、「Diverse biological activities of dandelion(タンポポの多様な生物活性)」からタンポポの腎臓に対する作用に関する箇所を以下に要約します。
タンポポは伝統的な民間療法の中で、そしてヨーロッパ、アジア、南北アメリカ大陸の現代の植物療法の中で、時間的にも空間的にも広範囲にわたって利尿剤として使用されてきた。例えば、一般にタンポポはフランスではpissenlit、イタリアではpiscialettoと呼ばれているが、どちらも「おねしょ」の意味がある。
ある研究では高容量を使用した時、そして別の研究ではゆるやかな効き目であることもあるが、ラットにおいてタンポポ葉の利尿効果は証明されている。ラットとマウスにおいて、タンポポ葉エキスはフロセミドと同じくらい利尿効果がある。(1)また、タンポポにはトクサやジュニパーベリーなどのハーブよりも強い利尿効果がある。(2)(3)
腎石形成の予防と治療にタンポポが使えるのではないかという研究がメスのウィスター系ラットを用いて行われてきた。(4)他の6種類の植物エキスとの相乗効果で、タンポポは尿路結石症に有益な効果を見せた。これは消毒作用と、推論だが、サポニンが含まれているからだと考えられる。
また、ある予備研究において尿量と排尿頻度を評価するために高品質のタンポポの生葉を使用したエタノール抽出物がヒトに投与された。(5)1回目と2回目の投与後は尿量が大きく増えたが、3回目は変化が見られなかった。このことから、この論文では「タンポポのエタノール抽出物のヒトにおける利尿効果は有望であるが、それを確固としたものにするにはさらなる研究が必要である」と結論付けている。
1)Rácz-Kotilla E Rácz G Solomon A . The action of Taraxacum officinale extracts on the body weight and diuresis of laboratory animals. Planta Med.1974;26:212–217.
2)Bisset NG Phillipson JD Czygan FC , et al. Herbal Drugs and Phytopharmaceuticals: A Handbook for Practice on a Scientific Basis. Boca Raton, FL: CRC Press; 1994:486–489.
3)Joanne Barnes, Linda A. Anderson, J. D. Phillipson, Herbal Medicines: A Guide for Healthcare Professionals, The Pharmaceutical Press; 1996.
4)Grases F Melero G Costa-Bauzá A , et al. Urolithiasis and phytotherapy. Int Urol Nephrol.1994;26:507–511.
5)Bevin A. Clare, Richard S. Conroy, and Kevin Spelman, The Diuretic Effect in Human Subjects of an Extract of Taraxacum officinale Folium over a Single Day, Published Online:13 Aug 2009https://doi.org/10.1089/acm.2008.0152
<参照>
■Marta González-Castejón et al., Diverse biological activities of dandelion, Nutrition Reviews, Volume 70, Issue 9, 1 September 2012, Pages 534–547, https://doi.org/10.1111/j.1753-4887.2012.00509.x, Published: 01 September 2012