神の草

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フランスの人々がエルブ・ロワイヤル(王の草)、アイヌの人々がカムイ・ノヤ(神の草)と呼ぶ植物は何でしょうか。

ヨモギです。

フランスでは強壮剤、解熱剤、鎮痛剤、刺激剤、健胃剤、駆虫剤として使われますが、ヨモギは昔から世界の広い地域で病気の予防や治療、健康維持に様々な方法で利用されてきました。

中国でもヨモギは重要な生薬のひとつです。
明代の書物、『本草綱目』には腹痛、喘息、子宮摘出、鼻血、痔、中風による手足のしびれ、腰や膝の痛み、消毒、防虫などヨモギの幅広い利用法が紹介されています。

ヨモギを原料とするお灸のモグサは漢字で「艾」と書きますが、「艾」という字には「病気をよく治す草」という意味があり、治療の「治」の字は、古くは「艾(おさ)」と書かれていたようです。
ヨモギには邪気を払う力があり、常食すると寿命が延びるとも言われます。

ヨモギは特に女性におすすめです。

ヨモギの学名「アルテミシア」は、ギリシャ神話の女神、アルテミスの名に由来します。アルテミスは出産の守護神であり、ヨモギは月経痛、生理不順、不妊症の改善を助けるとされます。


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ヨモギにはカルシウム、鉄分、βカロテンなど様々なミネラルが含まれ、最近では骨粗しょう症によいと注目されています。

沖縄ではフーチバジューシー(ヨモギ雑炊)などヨモギをよく食べますが、今の時期はやわらかく、あくが少ない新芽がおいしい頃です。
ヨモギ餅はもちろん、天ぷらや味噌汁にもおいしく使えます。

<参照>
■大城築、『図解 よもぎ健康法―衣食住から症状別の利用法まで』、農山漁村文化協会

『農家が教える よもぎづくし』、農山漁村文化協会