体外受精の取り違えを防ぐために


Illustrated by うさぎや

米国で、他人の受精胚を移植されたとして、夫婦が不妊クリニックを提訴したことが報じられました。
赤ちゃんの容姿が両親と大きく違うことからDNA鑑定を受けたところ、別のカップルの子どもであることが判明しました。
このご夫婦は「本当の子ども」を取り戻すために裁判になり、今まで育ててきた子どもを手放すという、大変つらい経験をされることになってしまいました。

不妊治療を受けている方にとって、卵子や精子、胚の取り違えが起きるのではないかということは、最も心配なことのひとつです。

これを避けるために、各クリニックでは声出し確認、指差し確認、バーコード認証システムなどさまざまな対策を取っています。

最新のシステムは、ICチップ付きのタグで精子、卵子、胚を常に見守り、「誰が、何を、どこで、いつ行ったか」を管理できます。
バーコードシステムの場合はスキャンする必要がありますが、ICチップは、リーダーの範囲内であれば全てのサンプルのスキャンが可能で、万が一、他の方の検体が作業エリアに持ち込まれると自動的に警告音が出ます。

人為的ミスを少しでも減らすための対策も日々、バージョンアップしています。

<参照>
体外受精で子ども取り違え 米夫婦、不妊治療医院を提訴、AFP BBNews、2021年11月9日
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