妊娠中の加熱式たばこが子どものアレルギーと関連


Illustrated by 身爪

産業医科大学の財津將嘉先生の研究チームが、妊娠中の加熱式たばこの使用が子どものアレルギーと関連するとの研究結果を発表し、第81回日本公衆衛生学会で最優秀演題賞を受賞しました。

同チームが母子5688組のデータを調査したところ、2.4%の女性が妊娠中に加熱式たばこを使用し、乳児の7.8%でアレルギーが発生しました。アレルギーの有病率は妊娠中も含めて現在も加熱式たばこを使用する母親の子どもにおいて15.2%増加しました。

この関連性は妊娠初期に最も顕著で、妊娠中の加熱式たばこの使用量が1単位増加するとアレルギー発症が5%増加することもわかりました。

よって、妊娠中の母親の加熱式たばこの使用は子どものアレルギーと関連すると研究チームは結論づけています。

「従来のたばこよりも害が少ないと思う」「煙で他人に迷惑をかけない」「カッコイイ」等の理由から加熱式たばこを使用する方が多いですが、厚生労働省はたばこの煙にさらされることについては「安全なレベル」はなく、喫煙者と受動喫煙者の健康に悪影響を及ぼす可能性が否定できないという見解を表明しています。

今後、加熱式たばこに伴う健康影響が明らかになっていくと思いますが、妊婦さんが気をつけるのはもちろんのこと、子どもの健康に関することですから、予防原則に基づき、周囲も含めて配慮が必要だと思います。

<参照>
■Masayoshi Zaitsu et al., Maternal heated tobacco product use during pregnancy and allergy in offspring, Allergy. 2022 Sep 29, PMID: 36176042 DOI: 10.1111/all.15536

■中村正和、加熱式たばこの健康影響、厚生労働省e-ヘルスネット、2021年8月11日