6月は世界不妊啓発月間

Illustrated by World Vectors by Vecteezy

6月は世界不妊啓発月間です。

WHOの報告書によると、世界の成人人口の約17.5%が不妊症を経験しています。不妊症の有病率は所得の高低に関わらず同程度であることから、これが世界的に大きな健康問題であり、適切に不妊治療を受けられることの必要性が言及されています。

世界中の不妊クリニックや関連団体が世界不妊啓発月間について記事を書いていますが、驚くほどその内容に共通点があり、そのことが問題解決のアクションとしての不妊啓発月間の重要性を示唆しています。

第一に、不妊問題に関する意識を高めます。

不妊治療の問題が公に語られることはあまりないため、約6組に1組のカップルが経験しているのに、不妊症に対する問題認識が広まっていません。そのため、いまだに不妊症に対する偏見が少なくなく、当事者にとってつらい経験となることがあります。また、当事者だけでなく、友人や家族、企業もどのようにサポートできるかを考えるきっかけになります。

第二に、解決策について知る機会を提供します。

カップルが自分たちの問題を理解し、解決方法を得るための情報にアクセスできるようサポートします。不妊治療では時間がとても貴重です。早期に専門医を受診すれば、思ったより容易に解決できることがよくあります。治療にあたってはそのプラス面とマイナス面、経済的なサポートやスケジュール調整、ライフスタイル管理などさまざまなことを知る必要があります。適切な情報を早く入手することは治療の成否に大きく関わります。

第三に、多くの人に希望を与えます。

この期間、多くの人が不妊問題に直面していることを明らかにし、諦めずにさまざまな選択肢を試すという自分たちのストーリーを共有します。同じ問題を経験している人たちとつながることは、困難な時期を乗り越える力になります。

日本でも、同期間に不妊治療患者をサポートするNPO法人Fineが中心となってさまざまな啓発イベントが開催されます。社会全体が次世代を育てることへの理解と支援を促進するきっかけとなることを望みます。

<参照>
世界不妊啓発月間2024