イチジク


Photo by リックエリック

2006年、ヨルダン渓谷の遺跡からイチジクの実が発掘され、ハーバード大学の研究チームが「1万1000年以上も前に栽培されていたものである」と発表しました。これほど昔から食されてきて、日本でもかつては庭にイチジクの木がある家が少なくなかったのですが、最近はあまり見かけなくなったのは残念なことです。

「薬の木」の異名を持つイチジクにはポリフェノールやカリウム、カルシウムなどのミネラルが豊富に含まれます。また、近年の研究から抗がん作用や血圧降下作用、美白効果も期待されています。

フレンチの肉料理の付け合わせやソースにはイチジクがよく使われますが、これはイチジクの実から出る白い液にタンパク質を分解するフィシンという物質が含まれるからです。肉のタンパク質が分解されるので肉が柔らかくなり、消化を助けます。そして、イチジクを生食で食べ過ぎると舌がピリピリするのはこれが原因です。

とはいえ、「1日で熟する」からイチジクの名前がついたという説があるように、イチジクはあまり日持ちがしません。

一度に食べきれないときは、軽く煮てデザートにするのがおすすめです。イチジクの皮をむいてお好みの量の砂糖をと少量の水を入れて軽く火が通る程度に煮ます。レモン汁はなくてもよいですが、入れたほうがおいしいです。夏のおやつにぴったりで、シロップもおいしくいただけます。

おやつにはドライイチジクもおすすめです。砂糖や油を使用しないのに、イチジクの甘みが凝縮されていて、しっかり噛んで食べるので食べ応えがあります。

<参照>
■田中修、『ありがたい植物 日本人の健康を支える野菜・果物・マメの不思議な力』、幻冬舎