妊婦のビタミンD摂取は致命的な疾患リスクを軽減する


Illustrated by とびうお

米国の研究者を中心としたグループが、妊婦のビタミンD摂取が致命的な疾患を有意に減らしたというシステマティックレビューを発表しましたので紹介します。

同グループは2010年から2022年の間に実施された12カ国からの143件の関連研究から23件をスクリーニングし、ビタミンDレベルと健康への影響との関連性を体系的に調査しました。

その結果、ビタミンD補給は子癇前症、早産 、未熟児、妊娠糖尿病、母体と乳児両方の感染症のリスクを軽減することを明らかにし、妊娠中を通じて最適なレベルを維持するために、必要なビタミンDを補給する必要があることを結論づけています。

この論文では、妊娠中に母体のビタミンD欠乏率が高くなる理由として、「日光を避けること」「食物からの摂取が十分でないこと」「医療提供者が一般的に、特に妊娠中に十分なビタミンD補給を推奨しないこと」をあげていますが、ビタミンDは細胞増殖、分化、アポトーシス、免疫調節等に関わり、胎児にとっても発育のすべての段階で不可欠な脂溶性ビタミンです。

医療関係者の間では近年、妊婦のビタミンD欠乏に対する科学的関心が高まっていますが、一般的にはまだその重要性が十分に認識されていないように思います。

<参照>
■William B. Grant et al., Vitamin D-Related Risk Factors for Maternal Morbidity and Mortality during Pregnancy: Systematic Review and Meta-Analysis, Nutrients 2022, 14(19), 4124; https://doi.org/10.3390/nu14194124 (registering DOI), 4 October 2022

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