妊娠糖尿病の予防のために


Photo by Cultura Allies

11月14日の世界糖尿病デーを前に、糖尿病に関連する健康情報の発信が増えてきました。

妊婦さんたちは気を付けて体重管理をされていますが、妊娠糖尿病と言われて「太っていないのに」「これまで糖尿病になったことなどないのに」と驚く方も少なくありません。

妊娠糖尿病は、妊娠前は糖尿病ではなかったけれども妊娠中に血糖値がやや高くなる状態で、一般的な糖尿病とは分けて考えられます。胎児にも影響があり、出産後に糖尿病に移行しやすいため、適切な対応が必要です。

妊娠糖尿病の治療の基本は食事療法と適度な運動です。妊活中、食生活に注意している方は多いですが、ぜひ運動も意識してほしいと思っています。

アイオワ大学のカーラ・ウィテカー准教授の研究チームは1333人の女性のデータを分析し、妊娠前の運動レベルが高い女性は、低い女性に比べて妊娠糖尿病を発症するリスクが21パーセント低いと発表しています。

ウィテカーさんは健康維持のために早足のウォーキングを週に少なくとも150 分行うことを推奨しています。およそ週に5日間、1日あたり30 分なので、習慣になってしまえば決して高いハードルではありません。太陽の光を浴びながら散歩をすれば、自律神経の調整にもよいです。私は妊活中の方に手軽にできる運動として階段昇降をお勧めしています。途中に階段があれば、ついでと思って昇りましょう。

Photo by Pixel-Shot

また、妊活中にタンポポエキスを飲まれているなら、妊娠後もぜひ続けて使用されることをお勧めします。

イタリア・パーマカルチャー研究所の論文は、PubMedデータベースを使用して、タンポポの主な薬効成分を科学文献で検索した結果を検証し、タンポポにおいて抗糖尿病作用と抗肥満作用を含む12の治療特性が科学文献で一般的に報告されていると結論づけています。

私もタンポポの血糖低下作用について発表していますが、2012年に『Nutrition Reviews』に掲載されたスペインの研究チームによる論文、「Diverse biological activities of dandelion(タンポポの多様な生物活性)」ではタンポポが薬として市場に導入される土台となるエビデンスがあるタンポポの薬理学的特徴がまとめられており、タンポポの血糖低下作用についても記載があります。

過去記事、「【Nutrition Reviews】タンポポの血糖低下作用」において、一部をまとめていますので、ご参照ください。

<参照>
■Kara M Whitaker et al., Prepregnancy Fitness and Risk of Gestational Diabetes: A Longitudinal Analysis, Med Sci Sports Exerc. 2018 Aug;50(8):1613-1619. doi: 10.1249/MSS.0000000000001600.
■Agnese Di Napoli & Pietro Zucchetti, A comprehensive review of the benefits of Taraxacum officinale on human health, Bulletin of the National Research Centre volume 45, Article number: 110 (2021), Published: 09 June 2021
■Marta González-Castejón et al., Diverse biological activities of dandelion, Nutrition Reviews, Volume 70, Issue 9, 1 September 2012, Pages 534–547, https://doi.org/10.1111/j.1753-4887.2012.00509.x, Published: 01 September 2012