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『News Diet（ニュース ダイエット）』の著者、ロルフ・ドベリさんはニュースなしの生活を10年以上続け、全く問題ないどころか、人生の質が向上したと公言しています。
ここでいうニュースとは、G7サミットの様子やダウ・ジョーンズの終値、女優がパートナーと破局など「短くまとめられた世界各地からの情報」のことです。ドベリさんは始終ニュースにさらされる弊害を本書で述べていますが、特に13章、「ニュースは『体に毒』である」は見過ごせません。
ネガティブな情報はポジティブな情報のおよそ2倍強く私たちに作用する現象をネガティビティ・バイアスと呼びます。生存のために必要な性質ですが、スマートフォンやSNSでニュースの消費量が以前よりも格段に増え、クリック数を稼ぐために内容がますます強烈になっています。
慢性的なストレスにさらされると、消化不良や成長障害、いらだち、病気に対する抵抗力低下を引き起こします。私たちは現在、ショッキングなニュースによるストレスで交感神経が刺激され続けている状態にあり、シンプルに言うと、ニュースの消費で心身の健康を危険にさらしています。
時々、自分の病気を調べすぎて収拾がつかなくなり、不安から抜け出せない患者さんがおられます。知りたいと思う気持ちはよくわかりますが、これでは逆効果です。
自分の心身についていちばん真剣に考えられるのはご自身です。あなたの状態をよく知る医師や専門家の意見を聞き、わからないところは直接質問するのがベースになるのではないでしょうか。
ドベリさんも調査報道や解説報道の重要性は認めています。氾濫する情報に流されるのではなく、必要な情報を自分で探しに行く姿勢が大切です。
知識という薬を使いこなしてほしいです。
＜参照＞
■ロルフ・ドベリ、『News Diet』、サンマーク出版