医療とお風呂

Illustrated by poko pocket

そろそろシャワーだけで済ませるのではなく湯船で温まりたいと思うこの頃、11月26日が「いい風呂」の日というのはまさによいタイミングだと思います。

日本では昔から風呂と医療が深く結びついていました。よく知られているのは奈良時代、光明皇后の施浴伝説です。光明皇后は風呂で1000人のあかを流して功徳を積むという悲願をたてましたが、最後に来たのはかさぶただらけの病人で「こすると痛いので膿を吸い取ってくれ」と言いました。周りの人たちは止めましたが、皇后が病人の世話を終えると、病人は自分が阿しゅく如来であることを告げ、光に包まれて消えてしまったという話です。

この時の「風呂」は今でいうサウナのような蒸し風呂で、いわゆる湯船につかることは「湯」と言われていましたが、「体を清潔にすること」と「体をあたためること」が日本の医療の基本にあることがわかります。

日本のお風呂文化には様々なものがありますが、そのひとつに季節にあったものを湯船に浮かべる季節風呂があります。これは湯から漂う香りで気をめぐらせるという工夫です。おなじみなのは端午の節句の菖蒲湯や冬至のゆず湯ですが、これからの時期におすすめなのは松の葉を浮かべる松湯です。体をあたため、森林浴のような香りが楽しめます。

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