妊娠中のベンゾジアゼピン使用は流産リスクを高める

Illustrated by inspiring.team

国立台湾大学の研究チームが、妊娠中にベンゾジアゼピン系の薬を使用すると流産のリスクが上がると発表しました。

ベンゾジアゼピン系薬は不安や不眠症、発作、痙攣などの治療に使用されます。

同チームは未測定の交絡因子と曝露時間の傾向を管理した上で、妊娠中のベンゾジアゼピン使用に関連する流産のリスクを定量化することを目的にデータを解析し、妊娠中のベンゾジアゼピン使用は流産のリスクを高めると結論づけています。

同時に、同チームは、精神疾患や睡眠障害の治療にベンゾジアゼピンを使用する場合、医師はリスクとベネフィットを十分検討する必要性を強調しています。この指摘は重要で、なぜなら統計的有意性が必ずしも臨床的有用性をもたらすわけではないからです。

不安障害は妊婦の最大15%に発生するとの報告もあり、起こりやすい病気のひとつであるにもかかわらず、十分な治療を受けていない、または胎児への悪影響を恐れて薬の使用に消極的なために深刻な結果をもたらす可能性があります。

精神疾患は偏見の対象となりがちなので、ベンゾジアゼピン薬の使用を言いたくない妊婦さんから服薬情報が適切に共有されないことも考えられます。医療専門家による丁寧な説明とサポートが一層求められると思います。

<参照>
■Lin-Chieh Meng et al., Benzodiazepine Use During Pregnancy and Risk of Miscarriage, JAMA Psychiatry, 2023 Dec 27, doi: 10.1001/jamapsychiatry.2023.4912.