英国ケンブリッジ大の研究チームがつわりの原因を特定

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つわりはほとんどの妊婦さんが経験する症状で、激しい吐き気や嘔吐、体重減少、電解質異常を引き起こし、入院治療が必要になるほど重症化することもあります。原因は長く不明なままでしたが、昨年末、英国ケンブリッジ大学主導の研究チームによる、つわりは胎児由来のホルモン、GDF15に関連しているとする研究論文が科学誌『Nature』に掲載されました。

GDF15は食欲や吐き気を感じる脳の部位に信号を送る物質です。同チームは「つわりの重症度は胎児由来のGDF15量と母親のGDF15に対する感受性が関係している」「胎児由来のGDF15値は妊娠期間とともに増加し、GDF15に対する母親の感受性の高さは、妊娠前の母体のGDF15値に左右される」と報告しています。

同論文でも記載があるように、GDF15濃度だけをつわりの診断ツールとして使用することは適切ではありませんし、サリドマイド事件以降、つわりの治療においては安全性に対する配慮が非常に求められています。

とはいえ、原因が長く不明なままであったつわりに対して、GDF15の阻害がつわりの効果的な治療法となる可能性があるという同チームの結論は、さらなる研究を促すきっかけになるのではないかと期待されます。

<参照>
■S. O’Rahilly et al., GDF15 linked to maternal risk of nausea and vomiting during pregnancy, nature, Published: 13 December 2023