慢性疲労症候群に大椎の温灸


Illustrated by モナーク

疲れがなかなか取れないときに、首の後ろにある大椎というツボに温灸をすることをお勧めすることがよくあります。東洋医学的には、大椎に温灸をすることで陽の海の異名を持つ督脈にエネルギーを補充し、体の気の流れをよくするということがありますが、西洋医学的にも、慢性疲労症候群の治療の鍵は頸部にあることを示唆する論文が発表されています。

東京脳神経センターの松井孝嘉先生の研究グループによると、慢性疲労症候群患者の多くが頸部に疾患や凝りがあることに注目し、頸部に低周波電気刺激療法と遠赤外線照射を行ったところ、約56%で改善が見られました。研究グループは、自律神経の調整が慢性疲労症候群の治療に関与している可能性を示しています。

今年は例年より早めに梅雨入りするところが多く、体の中に湿がたまりやすくなっています。温灸は体を温めて湿を飛ばし、気持ちをやわらげてくれます。他に病気がないのに慢性的に疲労感があるという方は、ぜひ大椎への温灸を試してみてください。

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<参照>
■Hiroshi Kawaguchi et al., Possible involvement of the autonomic nervous system in cervical muscles of patients with myalgic encephalomyelitis / chronic fatigue syndrome (ME/CFS), BMC Musculoskelet Disord. 2021; 22: 419. Published online 2021 May 5. doi: 10.1186/s12891-021-04293-7