精子数は21世紀以降 加速度的に減少


Illustrated by acworks

2017年、イスラエルの研究グループが「1973年に精液1mlあたり9900万個だった精子数が、2011年には4700万個と半分以下に減少した」と発表し、大きな反響を呼びました。

2022年11月15日、同じハガイ・レヴィン医師が中心となって進められた研究が発表され、2017年の研究がアップデートされましたので、概要を紹介します。

今回の研究には53カ国で200以上の研究から収集された57,000人以上のデータが含まれ、この主題について最大のメタ分析となっています。

その結果、1973年から2018年の間に、不妊症でないとされる男性の精子濃度は精液1ミリリットルあたり1億120万個から4900万個へと51%以上減少し、精子数は年に約1.1%の割合で減少していることがわかりました。
今回の研究は「2017年の分析結果を確認、拡張、強化するものである」と同グループは述べています。

4900万個という精子濃度は、世界保健機関が「正常」と見なす1500万個を大きく上回るとはいえ、ダンディー大学の生殖医学専門家であるサラ・マーティンズ・ダ・シルバ医師は「精子数の減少率が2000年以来、2倍になっていることを示した」と述べています。
また、今回の研究は精子数を対象としており、精子の運動性と形態は分析されていません。

生殖医療の課題において適切な対策をとるために、さらなる研究が必要であると考えます。

<参照>
■Hagai Levine et al., Temporal trends in sperm count: a systematic review and meta-regression analysis of samples collected globally in the 20th and 21st centuries, Human Reproduction Update, dmac035, https://doi.org/10.1093/humupd/dmac035 , Published: 15 November 2022
Sperm count is declining at accelerating rate worldwide: study, FRANCE24, 15/11/2022
■Hagai Levine et al., Temporal trends in sperm count: a systematic review and meta-regression analysis, Human Reproduction Update, Volume 23, Issue 6, November-December 2017, Pages 646–659, https://doi.org/10.1093/humupd/dmx022 , Published: 25 July 2017