オックスフォード大研究:上気道感染症においてハチミツは標準治療より症状を改善する


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夏の疲れで風邪をひきやすくなるこの時期、東洋医学では滋陰潤燥の食べ物を勧めます。

滋陰潤燥の食材の一つであるハチミツはのどの痛みや咳によいとされ、2018年にインフルエンザの大流行にみまわれた米国において、ニューヨーカーたちの間で蜂蜜とビワが配合される咳止めシロップ、蜜煉川貝枇杷膏(ニンジョムペイパコア)がブームになったこともあります。

ハチミツについて、オックスフォード大学医学部のHibatullah Abuelgasimさんのチームは上気道感染症を対象としたシステマティックレビューとメタ解析を実施し、抗ヒスタミン薬、去痰薬、咳止め薬などの標準治療群に比べ、複合的症状スコアや頻回・重度の咳においてハチミツ群の方が症状改善に優れていたと結論付ける論文を発表しました。

上気道感染症には抗生物質がよく使われますが、ウイルスが原因の場合は効果が見込めず、適切に使用されなければ薬剤耐性菌の拡大をもたらす懸念があります。1歳未満の乳児にはハチミツを使用できませんが、エビデンスの一つとしておもしろい発表であると思います。

<参照>
■Hibatullah Abuelgasim et al., Effectiveness of honey for symptomatic relief in upper respiratory tract infections: a systematic review and meta-analysis, BMJ Journals, August 18, 2020
■邵輝、「秋の食養生:ハチミツ」、Dr. Shawkea Official Blog、2019/10/25
■邵輝、「中国の咳止めシロップがインフルエンザ大流行のニューヨークでブームに」、Dr. Shawkea Official Blog、2018/03/10