妊娠高血圧腎症


Illustrated by 麦

第41回日本妊娠高血圧学会で、富山大学学長の齋藤滋先生が、妊娠高血圧腎症の予防法や治療法において、早発型と遅発型で区別をする必要性を発表されました。

妊娠高血圧症に加えてタンパク尿がある場合、妊娠高血圧腎症とされます。

妊娠中に今まではめていた指輪がはまらなくなったら、妊娠高血圧腎症の恐れがあるため、医師に伝えるように言われます。

重症になると頭痛や呼吸困難、吐き気があり、突然悪化してけいれん発作を引き起こすこともありますが、未だ原因が不明で、治療法も確立していません。

齋藤先生は、妊娠34週以前に発症する早発型は主に免疫が関与し、それ以降に発症する遅発型は主に肥満が関与していると言います。

37週未満の発症についてはアスピリンで予防効果が認められますが、37週以降の予防効果は認められないことから、遅発型の予防法についてはまだ検討段階にあります。

つまり、遅発型の妊娠高血圧腎症は予防法も治療法もまだ確立しておらず、妊娠前から適切な体重コントロールを行うことが現時点でできる最大の予防策です。

お母さんが痩せすぎていても、太りすぎていても、妊娠・出産・産後には大きな負担となります。

妊娠してから急に生活習慣を変えるのは容易ではありません。
赤ちゃんを迎えたいと思われているなら、小さなことからでよいので、生活習慣を見直していきましょう。

<参照>
■平山茂樹、妊娠高血圧腎症、早発/遅発型の区別を 内科との連携推進を提言、Medical Tribune、2022年01月17日
■Antonette T. Dulay、妊娠高血圧腎症および子癇、MSDマニュアル家庭版、2018年3月