情報収集の難しさ


Illustrated by うさぎや

国立成育医療研究センターの調査によると「人工授精の内容を正確に理解している人は約3割」であることがわかりました。

「人工授精と体外受精を混同している人が多かった」とのことで、確かに一般の方なら、人工受精とはどういうことかを知らなくても支障はないと思いますが、調査の対象者が妊娠を希望する女性向け体調管理アプリの利用者、約4千人であるということで、このような方ですら、基本的な用語を約3割しか理解していないというのは悩ましい事態だと思いました。

加齢に伴い妊娠率が低下することは約9割の方が知っていましたが、3~10%とされる人工受精による妊娠率について、半数近くの方が20~30%と実際より高く認識していました。
おそらく1回の成功率と累積妊娠率が混同されているのではないかと推察しますが、成功率が30%と思っているのと、せいぜい10%と思っているのでは、結果の受け止め方やその後の妊活にも影響すると思います。

「不妊治療の情報について困っていること」の設問において、「専門用語が多く理解できない」「情報量が少ない」と答えたのは約2割だったのに対し、約6割の方が「信頼性」と答えていました。

その一方で、不妊治療における情報源はインターネットが60%以上と圧倒的に多いにもかかわらず、「情報収集の際に気をつけていること」という設問においては最も多い答えが「特にない」と4割以上を占めています。

不妊治療においては、医師も顔負けの知識を持つ方もおられれば、基礎体温がわからない方もおられ、知識量にものすごく幅があります。何を知りたいかはそれぞれで、クリニックでは納得がいくまで聞くことができなかったという声もあります。

子宝カウンセラーの会の先生方は、基本的なことから最先端の不妊治療まで正しい情報を提供できるよう、常にアップデートを重ねておられます。
情報の海で迷子になる前に、信頼できる相談相手にたどりついてほしいと思いますし、子宝カウンセラーの会がその一翼を担うことができればと思います。

<参照>
■人工受精「正しく理解」3割 不妊治療、情報提供に課題、神戸新聞、2022年1月4日
スマホアプリによる不妊治療に関する情報提供で ユーザーのリテラシーが向上!、国立成育医療研究センター、2021/12/1