ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究グループは、1980年から2021年の世界中の5000人以上の女性を対象とした11件の研究データを分析し、第一子を妊娠するために体外受精などの不妊治療が必要だった女性の約5人に1人が、その後、自然妊娠する可能性が高いことを報告しました。
「体外受精をした人が自然妊娠することはまず起こりえないと思われていますが、(今回の結果は)そのような一般的な見解とは対照的です」と筆頭著者であるアネット・スワイツ博士は述べています。
確かに、ドナー精子の使用など、不妊症以外で不妊治療を受けた等のケースもデータには含まれているかもしれません。
それでも、「不妊治療後の自然妊娠は、決して『奇跡』ではない」ということに関しては、私の臨床経験から言っても妥当だと思います。
日本では不妊治療の保険適用で患者数が増加傾向にあるため、生殖補助医療で出産した後の自然妊娠も増加する可能性があります。
不妊治療を受けているすべての方が完全に、また永久に不妊であるわけではありません。
不妊治療では時間が重要ですから、なかなか授からないと悩まれるよりも、ご自身にとって最適な選択ができるよう、まずは不妊治療の専門医を受診し、情報を得るのがよいと思います。
<参照>
■One in five women become pregnant naturally after having a baby conceived with IVF, UCL News, 21 June 2023