「夏の味」と呼ばれる野菜


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夏においしくなることから「夏味(なつみ)」と呼ばれ、それが転化して「なすび」になったと言われる「なす」は焼いても、揚げても、煮ても、蒸してもおいしく、昔から世界中で食されてきました。食べるだけでなく、民間療法でもたとえば中国では口内炎や歯痛、日本ではイボやニキビ、ナイジェリアでは抗けいれんや抗リウマチ、韓国では痛みや火傷など幅広く使われてきました。

なすの紫色はポリフェノールの一種で、抗酸化力があることはよく知られていますが、動脈をコレステロールによるダメージから守る働きもあります。オーストリア、グラーツ大学のミッチェク博士は、高コレステロール食を与えたウサギをなすを与えたグループと与えないグループに分け、動脈を調べたところ、少量でもなすを与えたグループでは動脈硬化の進行が劇的に抑えられていたと報告しています。

たくさんある品種の中でもユニークなのは大阪の泉州が発祥とされる水なすで、一般的ななすに比べて皮が薄くてやわらかく、アクが少ないので生でも食べられます。室町時代の書物には桃やスモモと一緒に記載されており、フルーツのような感じで食べられていたと思われます。

<参照>
■ジーン・カーパー、『食べるクスリ』、ハルキ文庫