先日、生薬である松節の原料を探すためにチベットを訪れました。
体を温めて気持ちを落ち着かせる働きがある松節は、生薬として昔から重宝されています。私の不妊症の漢方カウンセリングでも、空胞の方によい手応えがありますのでご紹介します。
体外受精では採卵が行われますが、卵胞内に卵子が入っていない空胞が起こることがあります。
東洋医学では空砲を気滞、瘀血、冷えの観点から考えます。空砲の患者さんはストレスでイライラし、うつの状態です。採卵までに排卵誘発剤の使用などいろいろ準備をされてきたのに、空胞であると、気落ちされるのも当然だと思います。
私は漢方カウンセリングで、松節をベースに、陽気が滞る「熱うつ」、血が滞る「血うつ」、水が滞る「湿うつ」、食が滞る「食うつ(宿食)」、陽気と水が滞る「痰うつ」ごとに適する漢方薬を組み合わせることが多いです。
松節をベースにするのは、松節にはあたためて利湿し、活血の働きがあるからです。うつで気が流れないと、いくら補っても薬は必要なところに届きません。松節は体の気や水の停滞を取り、流れを作ります。また、科学誌でも発表されているように、松節には交感神経抑制効果があり、精神的に落ち着かせる働きもあります。
これから春に向けて雨が多くなりますので、体の中でも水がたまりやすくなります。温かくなって気が上ろうとしても、たまっている水で遮られ、頭に熱がこもってのぼせやすくなります。不妊治療をされている方だけでなく、季節の養生としても松節はおすすめです。