森鷗外の好物


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年末年始のご馳走で胃腸が疲れているこの頃は、お茶漬けで食事を軽くすませる方も多いのではないでしょうか。
梅干やノリ、ネギ、ナガイモなどお茶漬けの具は、胃腸の回復を助け、食欲がないときでも食べやすくしてくれます。

お茶漬けを好んだ有名人に明治の文豪、森鷗外さんがいます。
ただ、森鷗外さんのお気に入りのお茶漬けの具は少し、というかかなり変わっていて、お饅頭をごはんの上にのせてお茶をかけて食べていたそうです。
ちなみに、お饅頭をお茶漬けにする際には、煎茶を頼んでいたとのことです。

肝心のおいしいかどうかということについては、長女の茉莉さんは「私は今でもその渋くいきな甘味を好きなのである」と言っているのに対して、次女の杏奴さんは「(甘い物をごはんと一緒に食べるなど)私などどう考えてもそんなことはできない」と言っています。

小さい頃から神童と呼ばれ、スーパーエリートとして出世しながら文豪としても歴史に名を残しただけに、別次元の人という印象がある森鷗外さんですが、彼の人間らしい一面がこの意外な好物に現れているように思います。

<参照>
■虎屋文庫、『和菓子を愛した人たち』、山川出版社