2021年9月28日、大阪府は、咲洲で女王アリ4匹を含む1000匹以上のヒアリを確認したと発表しました。
毒針に刺されるとやけどのような激しい痛みを生じることから漢字では「火蟻」と書かれます。日本では生息していないとされてきましたが、2017年に発見されて以来、2019年2月時点で、14都道府県で確認されています。
実は、2019年にヒアリ対策としてあるものが話題になりました。
ワサビです。
兵庫県立大の橋本佳明准教授の研究グループが、ワサビの辛み成分であるアリルイソチオシアネートがヒアリの拡大リスクを下げる可能性を報告しました。
アリルイソチオシアネートは揮発性があるので、効用を持続したまま使うのは難しかったのですが、東大阪市の企業が成分が徐々に放出されるようにしたマイクロカプセルをシート状にしたワサビシートを開発しました。
ワサビシートとエサを入れた容器と、ワサビ抜きシートとエサを入れた容器を10個ずつ、巣の近くに40分、置いたところ、ワサビ抜きシートの容器には、1つあたり平均157匹のヒアリがエサに群がりましたが、ワサビシートの容器には1匹も入りませんでした。
また、ワサビのにおいでアリがえさを見つけられない可能性を考え、エサにアリを群がらせた上で、ワサビシートと一緒にした容器も作りましたが、1つの容器に平均0.9匹いたヒアリは全て死にました。
これらの結果から、ヒアリはワサビを嫌うこと、そしてワサビで死んでしまうことが考えられ、ワサビシートで積み荷を覆うことでヒアリの拡大が抑えられるのではないかと期待されています。
ワサビには抗菌効果があることはよく知られていますが、ヒアリにも効果があるとは驚きです。
<参照>
■小坪遊、猛毒ヒアリはワサビに勝てず アリ学の研究者が効果検証、朝日新聞、2019年3月1日
■古川幸奈、大阪でヒアリ1000匹以上 集団形成で女王アリも 人工島「咲洲」で、毎日新聞、2021/9/28