転換点を迎える薬局や薬剤師の業務

Illustrated by れもんあめ

2022年1月29日号の週刊ダイヤモンドの特集、「薬剤師・薬局 大淘汰」を、業界関係者は大きな関心を持って読まれたことと思います。

3部構成で薬局、薬剤師、薬学部の現状が報告され、薬局や薬剤師の業務が今、大きな転換点を迎えていることを強く感じました。

厳しい現状の中で各有識者が生き残り策を検討していますが、そこには共通点があります。

そのひとつは、専門性を持ち、地域医療の担い手として対人業務中心へとシフトするということです。

日本調剤の小柳利幸取締役は、新型コロナウイルスの影響でオフィスビル内のクリニックに隣接する店は売り上げが激減する一方で、郊外の住宅地に近い店舗の売り上げが増えていることを挙げて、「門前薬局だから来るのではなく、地域で患者に向き合う店が選ばれており、薬局を訪れる人の動きは変化すると実感した」と言います。

政府としても、薬局は地域医療と積極的に関わり、薬剤師は地域医療の担い手として患者への対応を増やすことを方針としているのは明らかです。

膨れ上がる社会補償費を抑えるため、政府は「コンビニよりも多い」とやり玉に挙げられる薬局を「選別」するような政策を打ち出し、厚労省の有識者会議では、今と同じ業務内容だと2045年には12.6万人の薬剤師が過剰になるとして、行動を促しています。

このような状況下で、カギになるのは情報です。

「オンライン薬局の風雲児」の異名を持つミナカラの喜納信也取締役はこう言います。

「我々のサービスでは薬剤師が必要とされ、患者に感謝されるのです。仮に病院が薬を出してくれるのならば、患者に薬局はいりません。われわれは患者のニーズに応え“解決策”を提供する存在になりたいのです。我々の強みは、患者さんが何を買えばいいかを考えるための情報提供に一番投資をしてきたことです」
(「薬局は20年変わっていない」(週刊ダイヤモンド、2022年1月29日号、p38)から引用して一部、要約)

薬局や薬剤師の業務は今、転換点を迎えています。

そして、その進む方向は、私たちが日頃、お世話になっているカウンセリングを中心とする薬局・薬店の姿であると思います。

患者さんがより充実した毎日を送ることができるように、私たちに何ができるのか、これからも模索し、実行していきたいと思います。

<参照>
特集:薬剤師・薬局 大淘汰、週刊ダイヤモンド、2022年1月29日号