【前編】東西医学の融合 ケロリン


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私は長年、東洋医学と西洋医学のよいところを掛け合わせて、より患者さんの健康に寄与する方法を検討してきました。中医学古典の読解と実験研究を両輪として商品を開発し、研究データや症例を発表してきました。ありがたいことに多くのすばらしい先生方に臨床で活用いただき、東西医学融合研究会などで先生方から寄せられた症例を数多く公表してきました。

2025年に黄色い桶で有名な鎮痛薬、ケロリンが100周年を迎え、数々の記念イベントが行われています。ケロリンも東洋医学と西洋医学のいいとこ取りのよい例だと思います。

『男はつらいよ』の寅さんも愛用するケロリンの主成分は、解熱鎮痛のアスピリンと胃粘膜を保護する桂皮です。アスピリンは世界中で使われている解熱鎮痛剤で、柳の樹皮を由来としています。柳の樹皮が解熱・鎮痛に効くことは紀元前から知られていましたが、19世紀に柳の樹皮から有効成分が抽出され、確立された化学合成プロセスにより量産が可能になりました。

もうひとつの成分、桂皮は日本でもなじみ深い生薬のひとつで、東洋医学では温経散寒(体を温める)、 通陽化気(気を巡らせる)、助陽(陽気を支える)の働きがあるとされます。

アスピリンの主な副作用に胃腸障害がありますが、脾胃を温めることで胃を守る桂皮が効果的に用いられています。薬理学的にも桂皮の成分には末梢血管拡張や抗炎症などの作用が報告されており、間接的に胃を守ると考えられます。

このように、ケロリンは東洋医学と西洋医学のよいところを活用した一例ですが、中国でも東西医学融合という考え方は応用されてきました。
後編では中国の例についてお話しします。