不妊治療と肥満症


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不妊治療をしているとき、しばしば減量を勧められることがあります。これは肥満症が全身の機能低下を引き起こすだけでなく、卵巣の線維化を引き起こし、卵巣機能に影響を与える可能性があるからです。

不妊治療は時間との闘いですので、できるだけ早く体重を減らそうと皆さん、とても努力されます。ただ、急激に体重を落としても無理は続きませんし、反動で元に戻ってしまうこともあります。

これからお伝えする3つのことは、もう何回も聞かれたことだと思います。それでも、やはり体重コントロールの基本になることですので、改めてお伝えします。

第一にバランスの取れた食生活をします。魚や卵、大豆製品、鶏肉など良質のタンパク質を摂り、甘いものや高脂肪食品は避けます。ゆっくりとよくかんで食べましょう。食べ過ぎてしまう方は、食べる量をあらかじめ自分の皿に盛ってしまうとよいです。

体内の糖分をコントロールするために、漢方では、解毒を助けるタンポポと、糖の吸収を抑制し、新陳代謝を向上させる桑の葉が使われます。

第二に、毎日、適度に体を動かします。毎日45分の有酸素運動は新陳代謝を促進し、インスリン抵抗性を改善します。血液循環にも良いです。

第三は十分な睡眠をとります。睡眠は体の調整に重要な役割を担っていますが、OECDによる2021年版の調査によると、日本人の平均睡眠時間は33カ国の中で最も短い7時間22分でした。厚生労働省の調査によると、1日の平均睡眠時間が6時間未満の割合は、男性が37・5%、女性は40・6%となっています。いつ眠るかも重要です。できれば23時前には就寝できるようにスケジュールを調整してみてください。

減量に秘策はありません。近道はないと心を決めて、できるところから取り組んでいきましょう。

<参照>
■江戸川夏樹、日本人は「睡眠不足」女性の4割が睡眠6時間未満 先進国で最下位、朝日新聞、2023年9月3日