水分補給をするときに、私は特に不妊治療を受けておられる患者さんには水ではなく白湯をすすめます。
以前、あるお母さんから「赤ちゃんが頻繁に下痢をして、いろいろな病院に行き、薬も飲んでいるけれどもよくならないので困っている」というご相談がありました。「赤ちゃんのミルクを作るときにどのように作っていますか」とお聞きしたら、ペットボトルの水を使っておられました。非加熱処理のペットボトルの水はおなかを冷やします。そこで、「赤ちゃんが口にする水は一度、熱を通したほうがよいです。ミルクを作るときは白湯を使ってください」とお伝えしたところ、赤ちゃんの下痢はパッと止まったとのことでした。
美容や健康に良いというイメージの白湯ですが、サーモス株式会社の調査によると、白湯をいちばん飲むのは意外にも20代男性で、20~30代では、女性より男性の方が白湯を飲むという結果でした。
マクドナルドがホットティーの販売終了を発表した際、「もう白湯が飲めない」というSNSへの投稿がありました。マクドナルドのホットティーはティーバッグとお湯が別々で提供され、白湯だけ飲む人が多かったそうです。そうした声も受けて、1カ月も経たないうちに販売が再開されたことも白湯が飲みものとして浸透していることがわかります。
沸騰したお湯が飲み頃になるまで時間がかかるため、面倒なイメージがある白湯ですが、沸騰したお湯を注いで2分後には飲み頃になり、約1時間、適温をキープできる白湯専用マグが人気ですし、コンビニでも白湯が通年販売されています。ペットボトルの水が販売され始めたころは「誰が水を買うのだろう」と不思議でしたが今では当たり前になってしまったように、白湯を買うのもそのうち当たり前になるかもしれません。
乾燥しやすい冬は、こまめに水分補給をすることが大切です。体を冷やさない白湯は、いずれ定番として根付いていくのではないでしょうか。
<参照>
■「20代~50代の男女481名を対象に『冬の水分補給に関する調査』を実施」、サーモス株式会社、2024年1月18日