「梅雨の水を飲んでおいしくなる」といわれるマイワシが旬を迎えています。
イワシは日本では昔からよく食べられている魚のひとつで、古くは『本朝食鑑』に「陽を盛んにし、陰を慈い、気血を潤し、筋肉を強め、臓腑を補い、経絡を通じ、老を養い、弱を育て、人を肥健せしめる」と書かれています。
中国でもイワシはよく食べられます。家庭ではニボシを炒め物やスープに入れてダシをとったり、トマトソースで煮る番茄沙丁魚が人気です。
薬膳では沙丁魚湯というイワシのスープが有名です。骨を強くする、血流循環を促す、気血を補う、脳の働きを助けると言われ、疲れやすい人、冷え性の人、産後の女性、高齢者によいとされます。頭と内臓を取ったイワシを軽く焼き、ショウガやナツメ、長芋などを加えて煮こみ、塩で味を整えます。クコの実を入れるのもよいです。簡単にできますが、イワシの旨味がしっかり味わえます。
鮮度がいいイワシはシンプルに食べるのがいちばんです。塩ゆでしたイワシをさっと煎りつけてショウガと酢醤油で食べてみてください。ゆでることで余分な脂が落ち、暑さで食欲がないときでもさっぱりと食べられます。
刺身には殺菌や消化促進を助けるダイコンやネギ、梅、ワサビ、シソ、ショウガ、サンショウ、ミョウガなど、薬味をたっぷり加えてください。
おからに酢でしめたイワシやニンジン、ネギなどをあえると栄養的にも優れた一品になります。