気血を補うブリ


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2025年は1月20日が二十四節気の大寒にあたり、一年で寒さが最も厳しい頃になります。こういうときは、やはりあたたかいお鍋が食べたくなります。

1月20日は骨正月といって、お正月に残った塩ブリの骨でダシを取った汁を焚いていましたが、これは素晴らしい知恵です。

薬膳では、ブリは気血を補って体をあたためる働きがあります。ブリは脂が多い魚と言われますが、江戸時代に貝原益軒が「脂の上を略する」と語ったことから「ブラ」となり、「ブリ」と呼ばれるようになったと言われています。脂質以外にもタンパク質やビタミン、ミネラルも豊富に含まれ、冬に産卵のために南下してくる寒ブリは、特においしいことで有名です。


出典:農林水産省ウェブサイト 画像提供元 : 金沢市

ブリといえば、石川県の郷土料理であるかぶら寿しをご存じですか。かぶら寿しは塩漬けにしたカブで塩漬けにしたブリを挟み、米麹に漬け込んで醗酵させたものです。

シンプルなひと品ですが、吉田茂元首相の息子さんが「見た所は蕪と鰤と麹でつけたものがどうしてこんなに旨いのか分からない」と言うほどの美味で、知人のご家庭でも、毎年、お正月に頂くひと切れを楽しみにしているとのことでした。かぶら寿しを食べる時だけは誰もしゃべらず、食べ終わると全員が「おいしい」と口にするそうです。機会がありましたらぜひ一度、ご賞味ください。

旬のブリを食べて体をあたため、出世魚にあやかって今年の運気を上げていきましょう!

<参照>
■金田禎之、『四季のさかな話題事典』、東京堂出版

四季のさかな話題事典