男性も子宝カウンセリングの活用を


Illustrated by ななこさん

セントラルフロリダ大学医学部准教授のジェイミン・ブラームバット医師による「泌尿器科医が伝える、男性不妊症について知っておくべきこと」という記事を興味深く読みました。というのは、タイトルから想像される男性不妊症の原因や治療法よりも、男性不妊症への取り組みには、医学的治療の範囲を超えたケアが必要であることが重点的に書かれていたからです。

男性らしさを自己価値と結びつけている男性にとって、自身が不妊症であるかもしれないということは深刻なアイデンティティクライシスにつながりかねません。しかし、世界保健機関(WHO)が実施した調査によると、不妊症の原因のうち、男性側に原因がある割合は約48%であることからも、不妊治療は両者とも治療の対象となることが不可欠です。

ジェイミン・ブラームバット医師は、男性が治療を受ける第一歩は「事実で誤解を解く」ことだと言います。以下、記事から要約しつつ、重要な箇所を引用します。

インターネットの様々な情報と現実の医療との間で認識を一致させるためには、不妊に関する事実と通説をはっきり分けることが大切です。以下は、私が患者さんに伝える主要なポイントです。

男性の生殖能力は年齢とともに自然に低下し、精子の質と遺伝子の健全性に影響を与えます。このプロセスは、喫煙や電子タバコ、過度の飲酒、肥満といったライフスタイルの選択に影響され、精子の質と生産を著しく低下させます。精索静脈瘤、感染症、ホルモンバランスの乱れといった健康上の問題も不妊を妨げます。重金属や過度の熱といった環境要因も精子の機能を損なう可能性があります。また、ストレスも精子生産に必要なホルモンを乱します。サプリメントは特定の欠乏症には有益ですが、普遍的に生殖能力を高めるものではなく、注意して使用すべきです。最後に、頻繁な射精が全体的な生殖能力を損なうことはありません。一時的に精子数を減らす可能性はありますが、古い精子を洗い流すことで受精の成功率を高めるのに役立ちます。

昨今は自宅で使用できる便利なキットもありますが、正確なデータを得られてこそ、医師はライフスタイルの改善やサプリメントの摂取、薬物療法、手術、補助生殖医療など最適な治療を提案できます。現場では新しい取り組みが続けられており、先日もAIを使って精子を検出するSTAR(Sperm Track and Recovery)法と呼ばれる方法で、無精子症の夫から正常に機能する精子を見つけ出し、18年間も不妊治療を続けていた夫婦が初めての子を妊娠したという報道がありました。

ブラームバット医師は、不妊症の検査や治療法を提供するよりも、カップルが親になるまでの道のりで直面する精神的困難に対処するほうがむずかしいと言います。不妊治療において精神的・身体的な困難に直面するのは女性だけではありません。最適な治療を受けるためにも、男性も子宝カウンセリングを活用し、早期に泌尿器科や男性不妊症外来を受診いただけたらと思います。

<参照>
■Dr. Jamin Brahmbhatt, What a urologist wants you to know about male infertility, CNN, April 24, 2024
■Jacqueline Howard, A couple tried for 18 years to get pregnant. AI made it happen, CNN, Jul 3, 2025