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「温灸をすると気持ちが落ち着く」とよく言われますが、物理的な温かさは、対人関係の温かさをも促すことを明らかにした興味深い研究があります。
コロラド大学ボルダー校のローレンス・ウィリアムズ准教授らの研究グループは、物理的な温かさは、その影響を本人が認識することなく、対人関係のあたたかさの感情を増加させると仮説を立て、2つの実験を行いました。
ひとつ目の実験は、41名の学生を2つのグループに分け、一方にはホットコーヒーを、そしてもう一方にはアイスコーヒーを持たせました。
その後、ある人物の印象について尋ねたところ、ホットコーヒーを持ったグループは、アイスコーヒーを持ったグループよりも「その人は親切である」と評価し、研究グループは「短時間の温かい、または冷たい身体経験は、その後の対人判断に影響を与えた」としています。
ふたつ目の実験は、53名を2つのグループに分け、一方には温かい治療用パッドを、そしてもう一方には冷たい治療用パッドの製品評価をしてもらいました。
その後、製品評価への報酬として、ジュースかアイスクリームのどちらかを「自分が受け取る」または「友だちにプレゼントする」ようにしたところ、冷たい治療用パッドを使った人は、友だちへのプレゼントよりも自分が報酬を受け取ることを選ぶ可能性が高かったのに対し、温かい治療用パッドを使った人は、自分が報酬を受け取るよりも友だちへのプレゼントを選ぶ傾向が高いという結果になりました。
これらの結果から、温かい刺激は、そのような影響に気づかずに、他の人に対する印象や行動に影響を与えると研究グループは結論づけています。
お灸は体だけでなく心も温めることができ、人間関係を良好に保つ手助けをします。
＜参照＞
■Lawrence E. Williams et al., Experiencing Physical Warmth Promotes Interpersonal Warmth, Science. 2008 Oct 24; 322(5901): 606–607. doi: 10.1126/science.1162548