体をあたためる鮭


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二十四節気の霜降を迎えて気温が下がり、秋が一段と深まった感があります。
この時期の食養生で大切なことは、体をあたためる食材と潤いを補う食材を上手に使うことです。潤いを補う食事としてナツメのスープをご紹介しようと思いましたが、とてもよい記事がありましたので、乾燥対策にはこちらの「百合根とレンコンの潤心湯スープ」をご参照いただき、今回は体をあたためる力が強いサケについてお話しします。

東洋医学には、その土地でとれる食材はそこの気候や風土に適応しているので、地元のものを食べるのが養生には最も合っているという考え方があります。例えば、熱帯地方では体を冷やす性質のあるバナナが収穫できるように、北海道や東北など寒い地域でとれるサケは、体をあたためる力が強いです。

薬膳では、サケは胃腸を温めて消化機能を高めるため、気血を補う働きがあるとされます。疲労を回復し、冷え性やむくみ、肩こり、血流を改善するのによいです。

現代栄養学の観点からも、サケは生活習慣病の予防、骨の健康維持、疲労回復に適した食材です。良質なタンパク質であり、DHA・EPAの不飽和脂肪酸は血液をサラサラにし、中性脂肪を減らすので、動脈硬化や心臓病などの生活習慣病の予防に役立ちます。カルシウムの吸収を助け、骨や歯を丈夫にするために必須のビタミンDも含まれます。また、サケの身を赤くしているアスタキサンチンには、強い抗酸化作用があります。

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体をあたためるポイントは、あたためる食材を使うのと共に、利水といって、体の余分な水を排出することです。むくみなどの余分な水は冷えの源になって気血のめぐりを妨げます。サケには水湿を除く働きもあります。

最近の急な冷え込みで体調を崩される方が増えています。寒さを感じたら、同じく体をあたためて利水するショウガをたっぷり入れた味噌仕立ての石狩鍋であたたまってください。


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