境内の立派な松と御影堂が一層映える快晴の日に、京都の知恩寺を訪れました。
樹齢を重ねた松には松節があることが多いです。松節は松の木が傷を治すときにできるかたまりで、漢方では重要な生薬として使われます。私は松節を長年研究しているのでつい探してしまうのですが、いくつも松節を見つけることができました。
3月になると痛みを訴える患者さんが急増することは、鍼灸院や相談薬局の先生方なら経験的にご存じだと思います。
これを東洋医学的に言うと、春は雪解けにより川の水が増水し、洪水をおこすこともありますが、同様に体の中も気が流れ始め、所々で詰まりが起こります。気血の流れが詰まると痛みになるため、春になると痛みを訴える方が多くなるというわけです。
このようなときは、温陽活血、すなわち体を温めて血の流れをよくする働きがある松節がよいです。
春先はまだ寒暖を繰り返して気温が安定しませんから、体をあたためて血流をよくしてやると体の詰まりが取れます。また、松節には抗炎症や鎮痛の働きがあることが数々の研究で報告されています。香りにリラックス効果もあり、この時期の症状におすすめの生薬です。