今の時期、最も高価なスパイスと呼ばれるサフランが収穫されます。販売単位がまさかの「グラム」です。秋クロッカスとも呼ばれる花の雌しべのみが使われ、手作業で収穫するので、高いのもやむなしといった感があります。
サフランが使用されてきた歴史は非常に長く、紀元前2000年ころに書かれた本にすでに記載があります。主に薬草として使用されましたが、クレオパトラがサフラン入りのお風呂に入っていた、14世紀にヨーロッパでペストが大流行したときには特効薬として需要が急増した、奪われたサフランを奪還するために「サフラン戦争」が起こったなどエピソードには事欠きません。
東洋医学では、サフランは血の滞りを改善するので冷え性や月経痛、月経不順に用いられます。また、気持ちを落ち着ける働きがあるのでイライラや不眠にもよいといわれます。ルイ・ヴィトンはじめ、多くのブランドが香水のモチーフにする香りも楽しむことができます。
一方で、通常のスパイスとして使用するのであれば問題ありませんが、薬効を期待して摂りすぎると毒性があるから危険であること、また、子宮収縮効果があるので妊婦さんは使用しないことに気をつける必要があります。
高級品と言われるサフランですが、わずか1グラムに300本くらいは含まれており、サフランティーであれば100mlに5本程度と使う量は少ないです。しかも、栽培は意外に簡単なので、育ててみるのも一興です。
<参照>
■コンスタンス・L. カーカー (著)、メアリー ニューマン (著)、佐々木紀子 (翻訳)、『食用花の歴史』、原書房