香りを食す七草

江戸時代から食されている正月の七草粥は、せり、なずな、ごぎょう、はこべ、ほとけのざ、すずな、すずしろの七草の若葉を粥に煮込んだものです。その中の一つ、せりの香りには心身ともにはつらつとさせる力があると言われます。

貝原益軒は『養生訓』の中で「香りは正気を助け、邪気を払い、悪臭を消し、汚れを去る。たまには植物の匂いや香りを薫いてそれを味わい、心を養え」と述べています。

香りがよくて、この時期におすすめなのは松節です。松節の香りで気分が晴れやかになり、体をあたためて気をめぐらせる力がありますので元気が出ます。また、『本草綱目』には「松節は中風をよくする」とあります。冬は脳梗塞が増えますが、中風は脳梗塞だけをさすのではなく、冷たい風にあたってくしゃみや鼻が詰まることも含まれます。

また、冬は温灸で体をあたためるのがよいです。もぐさの原料はヨモギです。ヨモギは餅や団子にしてその香りがうまく使われてきましたが、冬は温灸でその香りを活用します。

本能や情動と結びつきが強いと言われる嗅覚によって呼び覚まされる体の感覚は大切です。香りのあるものを生活に取り入れてみてください。

<参照>
■photo by kenstock

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