飛騨地方の秋の味覚 ナツメ

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漢方や薬膳料理には欠かせないナツメは、飛鳥時代の遺跡からも種が出土しており、日本でも古くから使われてきました。

葉酸と鉄が豊富に含まれるナツメは、特に女性に常食していただきたい食材のひとつです。

中国で「女性の宝」と言われてきた処方に、ナツメと阿膠(ロバの皮のコラーゲン)があります。「鉄を補給する」「体を温める」「体力をつける」ために用いられます。

ナツメには補血と健脾の働きがあります。

健脾、すなわち脾胃がよくなれば消化がよくなり、食べ物の力を充分に体に取り込み、気血を増やすことができます。

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かつては日本各地でナツメが広く栽培され、薬や供物、食用として使われていました。

残念なことに近年、普段の生活ではあまり見かけなくなってしまいましたが、岐阜県北部の飛騨地方では、今も秋の味覚としてナツメが親しまれており、郷土料理として甘露煮などが受け継がれています。他にもおかずの一品や加工食品、ナツメ酒などいろいろな形で利用されています。

旬を迎え、日本で生のナツメを食べられる貴重な機会ですので、飛騨地方を訪れる方は、ぜひ生のナツメを食べてみてください。シャリシャリした食感のやさしい甘みが楽しめます。