産後うつは1年後でも出現の可能性


Illustrated by カネーライス

東北大学大学院医学系研究科の菊地紗耶助教の研究チームは、通常、数カ月以内に発症すると言われる産後うつの有病率は、産後1年の時点でも産後1カ月と同じであることを発表しました。

有効回答が得られた約11000名を対象とした調査において、研究チームは、産後1年にうつ症状を呈していた者のうち、約半数は産後1カ月時点ではうつ症状を呈していなかったことも報告しています。

また、菊地助教は別の発表で、出産前後の性ホルモン変化と産後うつとの関連において、産後うつを示した母親は、妊娠中期から出産直後にかけての性ホルモン(プロゲステロン)の低下率が大きいことも報告し、産後の母親の血中の性ホルモン濃度の大きな低下が産後うつを引き起こす可能性を示唆しています。

産後うつは産後女性の10~20%に出現すると言われており、子どもや家族への影響を考えると、見過ごせない問題であると思います。

菊地助教は、産後1年間は母親のメンタルヘルスに注意し、必要なサポートを提供できる体制の必要性を指摘していますが、まわりにおられる方々は長い目でお母さんを見守っていただきたいと思います。

<参照>
■東北大学プレスリリース、「産後うつは産後1年経過しても出現する」、2021年9月10日
■東北大学プレスリリース、「出産前後の性ホルモン変化と『産後うつ』との関連を解明」、2021年1月19日