【Scientific Reports】タンポポ抽出物の乳がん細胞に対する抗転移および抗増殖効果

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NatureのScientific Reportsに、イラン・アルダビール医科大学の研究チームによるタンポポ抽出物の乳がん細胞に対する抗転移および抗増殖効果に関する論文が掲載されましたので、紹介します。

ビタミンA誘導体であるオールトランスレチノイン酸 (ATRA) は、いくつかのヒトのがんにおいて増殖阻害、分化、アポトーシスを誘導する抗がん剤として知られています。

また、タンポポは根、葉、花に抗酸化作用、抗炎症作用、抗がん作用を持つフラボノイド化合物とLチコリ酸が含まれていることから近年、大きな注目を集めており、複数の研究でがん細胞に対する抑制効果と抗転移効果が証明されています。

同研究では、乳がん細胞株であるMCF-7およびMDA-MB231を使用し、細胞をさまざまな濃度のATRA、タンポポ抽出物、またはその両方で処理し、ヒト乳がん細胞増殖に関与するIL-1β、また、腫瘍転移抑制因子として知られるp53等の発現を測定しました。

タンポポ抽出物、ATRA、または両方の組み合わせで処理した両細胞では、p53の発現の増加に伴いIL-1βの発現の顕著な減少が観察されたことから、同チームはタンポポとATRAの組み合わせは、乳がん細胞に対して細胞毒性効果を有し、乳がん細胞の浸潤に関与する因子の制御に効果的であると思われると結論づけています。

<参照>
■Hamed Rezaie et al., Combined dandelion extract and all-trans retinoic acid induces cytotoxicity in human breast cancer cells, Scientific Reports volume 13, Article number: 15074 (2023), Published: 12 September 2023