ヘビと医療


Illustrated by Toshi_kagura

2025年1月20日、トランプ米大統領が米国が世界保健機関(WHO)から脱退する大統領令に署名し、世界中に衝撃が走りました。

WHOはすべての人々の健康を増進し保護するため互いに他の国々と協力する目的で1948年に設立されましたが、そのロゴをご覧になったことはありますか。
アスクレピオスの杖と呼ばれる棒にヘビが巻きついているデザインは、医の象徴として世界的に用いられています。


WHO http://www.who.int/about/licensing/emblem/en/, Public domain, via Wikimedia Commons

アポロンの息子であるアスクレピオスは、死者をも蘇らせるほどの名医だったため、冥界のハデスの怒りを買い、ゼウスによって命を奪われましたが、その後、功績が讃えられてへびつかい座となりました。

アスクレピオスの子どもたちも医療に関わっています。特にヒュギエイアは薬の女神として有名で、ヘビが巻きついた杯として表現されるヒュギエイアの杯は、しばしば薬学のシンボルとして用いられます。ヒュギエイアはギリシャ語で健康を意味し、英語のhygiene(清潔、衛生)の語源とされます。

日本医師会のロゴにもヘビがデザインされており、ギリシャでは大地の再生力と考えられているヘビは、医学にとって象徴的な存在です。

こじつけではありませんが、巳年である2025年は医療に携わる方にとって特別な年と言えるのではないでしょうか。皆さまの知識、技術、経験、あたたかい思いが一層発揮され、ひとりでも多くの方の健康に寄与されること、そして私もそのひとりとして力を尽くす一年になることを願います。

<参照>
WHO HP