秋のご馳走 松茸


Photo by cheetah

店頭で松茸を見かけるころになりました。松茸の特徴はなんといってもその香りで、昔から和歌や俳句にもよく詠まれてきました。松茸の独特の芳香は松気とも言われますが、東洋医学では、松気は松から得られる生命力を意味します。中国では、松林を散歩してその気を吸う養生法があります。常緑樹で長寿の象徴である松から得られる清らかで生命力に満ちたエネルギーを体に取り入れます。

松茸は『本草綱目』に、香りがよくておいしく、滋養・疲労回復があり、体を軽くして健康で長生きできる食材として記載されています。薬膳的には、消化吸収を助け、食欲不振や胃もたれに良いとされ、元気を補うので疲労回復や体力が落ちている時に用いられます。ナツメやクコ、蓮の実などと一緒に煮込むスープやおかゆに使われることが多いです。現代の成分研究では、他のキノコにも共通する免疫調整作用も期待されています。

今でこそ超高級品の松茸ですが、江戸の料理本『本朝食鑑』には「松茸は庶民も食すことができる馴染みのキノコ」と記されているようにふつうのキノコでした。広島県の世羅では松茸がたくさんとれるので、郷土料理として松茸入りすき焼きがあります。手でさいた松茸を食べる直前にさっと煮たら香りがよく立つとのことで、なんともぜいたくな一品です。

まだ人工栽培ができないため、自然の恵みをいただくしかありません。これからも秋のご馳走として大切にしたい食材です。