人間の精巣に蓄積するマイクロプラスチック


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プラスチックが細かく砕かれて5mm未満になるとマイクロプラスチックと呼ばれます。以前、胎盤からマイクロプラスチックが検出された記事を書きましたが、ニューメキシコ大学薬学部の研究チームが人間の精巣に動物の精巣や人間の胎盤に含まれる3倍の量のマイクロプラスチック片が含まれていることを報告しています。

マイクロプラスチックは生殖器の奇形、女性不妊症、精子数の減少を引き起こすおそれがある内分泌かく乱化学物質を有するといわれ、米国を含む世界の一部地域で過去50年間に精子数が少なくとも50%減少していることが報告されています。

研究チームの一員であるマシュー・カンペン博士は「私たちがさらされるプラスチックの量は10年から15年ごとに倍増している。私たちはようやく体内にどれだけのプラスチックが蓄積されているかに気づき始めた。この問題に関する研究が急務だ」と語ります。

この研究で興味深いのは、研究チームは当初、高齢男性の睾丸からより多くのプラスチック片が見つかると予想していましたが、20歳から45歳にかけてはプラスチックのレベルが高かったけれども、55歳を過ぎると低下し始めていたことです。これは人体が体内に蓄積されたプラスチックを排除できることを示唆しています。

20歳から45歳は男性の生殖年齢のピークであることは懸念されますし、現代生活においてプラスチックを完全に避けることはほぼ不可能ですが、暴露量を減らしたり、蓄積されたマイクロプラスチックを除去しようと試みることは可能です。特に妊活中の方は、プラスチック製の食器や掃除用品などの使用量を減らし、解毒を意識してください。

<参照>
■Robin Foster, Scientists Discover Microplastics Abound in Human Testicles, Health Day, May 22, 2024
■Chelin Jamie Hu et al., Microplastic presence in dog and human testis and its potential association with sperm count and weights of testis and epididymis Get access Arrow, Toxicological Sciences, Volume 200, Issue 2, August 2024, Pages 235–240, https://doi.org/10.1093/toxsci/kfae060, Published: 15 May 2024