集中治療室のおじいちゃん


Photo by Kelly Sikkema

「集中治療室のおじいちゃん」として知られていたデビッド・ドゥッチマンさんをご存知でしょうか。

デビッドさんは退職後14年もの間、毎週火曜日と木曜日に、米国アトランタ州にあるスコティッシュ・ライト子ども病院の集中治療室で、仕事などで日中、病院に来ることができない親の代わりに未熟児や病気の赤ちゃんを抱っこするボランティアをしていました。

デビッドさんと一緒に8年間、働いていた看護師のジョアンナ・スレイドさんは、「赤ちゃんが(デビッドさんの)腕の中で泣いているのを見たことがない」と言います。

そして、看護師のエリザベス・ミッティガさんは「赤ちゃんがデビッドさんの愛情と温かさを感じることは間違いなく役立っています。赤ちゃんたちはより早く成長し、食べ物の消化もよくなります」と言います。

赤ちゃんのご両親にとっても、デビッドさんは大きな存在でした。
出会った家族と長いつきあいになることもしばしばだったそうです。

デビッドさんは現役時代、国際的な企業でマーケティングの役員や複数の大学で特別講師を勤めてきましたが、「このボランティアが人生の中で一番の仕事だ」「吐かれたり小便をかけられたりと素晴らしいよ」と語り、「私が与えるよりもはるかに大きいものを受け取っている」と言うのが常でした。

残念ながら2020年に膵臓がんのため86歳で亡くなられましたが、デビッドさんの行いは今も多くの方に大切なことを教えてくれます。

<参照>
■Ryan Bergeron, ‘ICU grandpa,’ who cradled sick and premature babies, has died, CNN News, November 21, 2020