糖尿病網膜症は発症後、急速に進行


Illustrated by かえるWORKS

糖尿病網膜症は、糖尿病の三大合併症のひとつです。初期の段階では自覚症状がありませんが、症状が進むと視界のかすみ、視力低下などが起こり、失明に至ることもあります。

シンガポールの研究チームは、成人9481人のデータを分析し、軽度の糖尿病網膜症が発症するまでの期間は約8年と長いが、軽度または中等度の状態からの進行は1年以内と短いこと、そして中等度以上の糖尿病網膜症は、軽度以下の糖尿病網膜症と比較して、進行と死亡の確率が大幅に増加することを発表しました。また、HbA1cと収縮期血圧の高さが症状の進行に関連することも報告しています。

糖尿病網膜症の増悪を防ぐには、早期発見と進行監視が重要ですので、定期的に検査を受けることが必要です。とはいえ、糖尿病は生活習慣病ともいわれるように、病院に任せきりでは症状の改善は見込めません。

東洋医学的には、毛細血管のかたまりである目の健康を維持するにはお血を改善し、利水をすることがポイントです。

漢方では、利水目的でタンポポがよく用いられます。タンポポの葉から抽出された糖鎖、T-1は毛細血管の循環を促進し、過剰に糖を摂取した時に糖の吸収を抑えることが研究で報告されています。

糖尿病は初期の治療が大切と言われますが、シンガポールの研究チームの発表は、改めてそのことを裏付けているように思います。大切な視力を守るために、食生活を含めて続けられる改善をしていきましょう。

<参照>
■Sudarshan Seshasai et al., Transition probabilities of diabetic retinopathy and death in an Asian population with diabetes, Asia Pac J Ophthalmol (Phila). 2024 May-Jun;13(3):100070. doi: 10.1016/j.apjo.2024.100070. Epub 2024 May 20.