ほんとにいったい一日
何をしていたのかな
たいしたことはしなかったね、
たぶん、それはほんと
子どもはかわいいと思うけれど、部屋は散らかり、ご飯も準備できず、メイクどころか着替えてさえいないこともあり、仕事と育児の狭間で焦り、他のお母さんと自分を比べては焦り、そんなこんなで疲れはてて溺れかけてしまう時がおかあさんにはあります。
「今日も一日、何もできなかった」と思ってしまうおかあさんを、この本は
澄んだ目をした、
髪のふわふわな、
この子のために
すごく大切なことを
していたんだって
そしてもし、
そっちのほうがほんとなら、
わたしはちゃーんとやったわけだ
と肯定します。
もともとはニュージーランドの子育て支援施設の壁に貼ってあったよみ人知らずの詩だそうです。それを子育て雑誌の編集者が見つけ、「日本の、疲れはてた、でもがんばって子育てをしている母親たちに伝えたい」ということで持ち帰り、詩人の伊藤比呂美さんが日本語に訳し、画家の下田昌克さんが絵を描きました。小さな、うつくしい、手で触れて読みたい本です。
<参照>
■伊藤比呂美 訳 下田昌克 画、『今日』、福音館書店