ひといちばい敏感な子


Illustrated by ゆめみ愛

米国の心理学者、エレイン・N・アーロン博士が1996年に提唱したHSP(Highly Sensitive Person)という概念は、『「繊細さん」の本』がベストセラーになったことで一気に広まりました。

その子ども版、HSC、Highly Sensitive Childは、いわゆる内向的、恥ずかしがり屋、恐がりといった性質を、その背景にある「感覚処理過敏性」に注目して概念化したもので、日本では「ひといちばい敏感な子」などと訳され、近年、認知度が高まっています。

児童精神科医の長沼睦雄先生は、長年の臨床経験を元に「繊細な子を育てていくための長沼流・あんしん13カ条」をまとめておられます。例えば、以下のようなものがあります。

■子どもがイヤなことはイヤと言える安心な関係を作り、本音を出せるように。

■子どもの感じ方、考え方、気持ちを尊重し、価値観や期待を押しつけない。

■子どもの人格を否定しない。性格を決めつけない。

■「○○できたら○○してあげる」などと、子どもを条件つきで愛さない、ほめない、コントロールしない。

「ひといちばい敏感な子」は繊細ゆえ不安を抱えやすい面はありますが、いい面もたくさんあります。大切なことは、長沼先生が言われるように「HSCはその子の気質。病気や障がいではありません」ということです。刺激を避けるために子どもの言いなりになったり、過保護になる必要もありません。

そして、先に挙げられた項目を見ても、「繊細だから特別に注意しなければいけない」ということではなく、むしろ、どんな子どもに対しても当てはまることであると思います。ひとりひとりの子どもに正面から向き合う、ということが基本であると思います。

<参照>
■特集 大人だって不安な時代に 子どもの不安、どうケアしますか?、月刊 クーヨン 2021年 01月号

■武田友紀、「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる「繊細さん」の本、飛鳥新社