産後の低骨密度が痩せている女性に顕著


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新潟市民病院で分娩した1079例を対象に調べたところ、4割超が大腿骨頸部の低骨密度で、妊娠前BMIが18.5未満の痩せている女性では7割を超えることを、同病院の倉林工先生が発表しています。

骨粗鬆症予防と聞くと、一般的にカルシウム不足がイメージされますが、骨の健康を保つにはさまざまな栄養素が必要です。痩せている女性は、必要な栄養素が不足していることが懸念されます。

骨粗鬆症患者さんはカルシウムとビタミンD摂取を勧められるように、ビタミンDは腸でのカルシウムの吸収を助け、骨の形成と成長を促進します。

ビタミンDは不妊治療中の方にも重要な栄養素です。
着床環境や排卵障害の改善、習慣流産リスクの減少など、ビタミンDと妊娠を関連付ける論文が多くあります。

周産期においても、ビタミンD不足は妊娠高血圧症候群、胎児発育不全、早産、妊娠糖尿病、不育症等に関連することが報告されています。今回、さらに骨粗鬆症予防という観点からも重要であることがわかりました。

かつては「小さく産んで大きく育てる」ということで体重増加が厳しく管理されていましたが、妊婦さんがやせすぎていると栄養不足で胎児の発育に影響が出るため、2021年に妊娠中の体重増加量の目安が約3キロ引き上げられています。

元気な赤ちゃんを、元気な体で育てることができるように、バランスよく各栄養素を摂取できるよう工夫してください。

YouTubeの「【妊活のための体づくり】ビタミンDを取るには」でも、ビタミンDを取りやすい方法をお話ししています。
あわせてご覧いただければ幸いです。

<参照>
■Takumi Kurabayashi et al., Prevalence of osteoporosis and osteopenia assessed by densitometry in Japanese puerperal women, J Obstet Gynaecol Res. 2021 Apr;47(4):1388-1396. doi: 10.1111/jog.14694. Epub 2021 Feb 8.