春を告げるジンチョウゲ


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春はさまざまな花が咲き始めますが、とりわけその香りが印象に残るのはジンチョウゲです。

ジンチョウゲの名前は、沈香と丁字(クローブ)の香りがすることからつけられたと言われます。

中国では瑞香や七里香とも呼ばれるジンチョウゲは、漢方薬として歯痛や神経痛に使われますが、毒がありますので一般の方は決して使わないでください。庭木としても、取り扱いには十分な注意が必要です。

名前の由来となった沈香は香木のことで、正倉院に宝物としておさめられている蘭奢待(ランジャタイ)はジンチョウゲ科の沈香です。詳しくはわかっていませんが、ジンチョウゲ科の樹皮についた傷を治すために植物が出した樹液が長い時間をかけて変質したものと言われています。

私が長年研究している松節も、松についた傷を松自身が治そうとしてできたもので、さまざまな薬効があることが確認されています。植物の自己治癒能力は植物だけでなく、私たちにも有用なものです。

兵庫県の淡路島には日本で最初に香木が伝わり、香木を御神体とする枯木神社があります。神社の裏手には、夏祭りに潮浴びをすると子宝に恵まれるという子宝石があり、パワースポットとして有名です。お香やアロマテラピーが好きな方は、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。