子宝を守る阿膠


Illustrated by 松本 松子

「女性の症状を助ける阿膠」では生薬としての阿膠(あきょう)について、また「楊貴妃の美を支える阿膠」では生薬としての阿膠についてお話ししましたが、今回は安胎目的で用いられる阿膠についてお話しします。

「安胎」とは流産を防ぎ、母体を守り、出産を助けるための考え方や方法を指します。妊娠期間を通して母体と赤ちゃんの健康をサポートするための総合的なアプローチと言え、生薬や生活習慣改善などが含まれます。

安胎で有名な生薬のひとつに阿膠があります。阿膠はロバの皮を煮詰めて作ったコラーゲンの塊で、血液を補い、不正出血を止める働きがあることから、子宮の状態を整え、流産を防ぐとされます。

不妊症で悩んでいた西太后は、阿膠を使用して、無事に同治帝を出産したという話は中国では広く知られています。

西太后は阿膠の効果を高め、美味しく摂取するための工夫を凝らしていました。特に好んだのは阿膠粥と阿膠糕(あきょうこう)と言われています。

阿膠粥は溶かした阿膠をナツメやクコと一緒に煮込んだおかゆです。阿膠糕は黄酒で溶かした阿膠にナツメ、クルミ、黒ゴマなどを練り固めたお菓子です。現代の中国でも、旧正月や母親の誕生日に贈る特別な品として人気があります。

中国には「阿膠とナツメを一緒に食べれば、一生老けない」という言葉があるように、阿膠とナツメはとても相性がよく、補血には最強の組み合わせです。

東洋医学では、気と血は互いに支え合っているため、同時に補うとよりよいと考えます。阿膠とナツメはどちらも血を補いますが、ナツメは消化吸収を助け、エネルギー(気)を補うことで血を補います。つまり、ナツメは気を補い、阿膠は血を補います。

また、阿膠は消化に負担がかかりやすいですが、ナツメの胃腸の働きを助ける作用が阿膠の消化・吸収を助けます。

中国では婦人病や不妊治療でよく用いられる処方ですが、冷え性改善や産後の養生など広く応用できます。