餃子で運試し


Photo by KEA

旧正月である春節の連休期間も今日で終わりますが、昨年末に春節がユネスコの無形文化遺産の代表一覧に追加されたこともあり、今年は各地でより盛大にお祝いされたことが報じられています。

お正月に食べられる幸運の食べ物のひとつに餃子があります。餃子の形が昔の中国の貨幣と形が似ていることから、富をもたらす縁起ものとされます。中国では餃子はとても古くから食べられており、私の出身地である山東省の遺跡からは春秋時代の餃子とされるものが出土しています。

おもしろいのは、新年を迎えるにあたり、餃子で運試しをしていたことです。明代に書かれた書物には、宮中でお正月に食べられた餃子には銀が入っているものがあり、それを手に入れた者は良い一年を迎えることが書かれています。自分に切り分けられたものからフェーブと呼ばれる磁器製の飾りが出てきたら、その日1日、王様になれるというガレット・デ・ロワというフランスの伝統菓子と似ています。

今は、餃子の中にナツメやナッツ、硬貨などを入れることが多いようです。ナツメが入っていた人は子宝に恵まれ、ナッツが入っていた人は健康に恵まれ、硬貨が入っていた人は金運に恵まれると言われます。ただ、ナツメやナッツだと、入っていても気づかずに食べてしまうことも多いです。知らない間に幸運に恵まれているかもと考えるのも楽しいです。

<参照>
■王仁湘、『中国食の文化誌』、原書房

図説中国食の文化誌