デンマークのオーフス大学病院による2型糖尿病におけるタンポポの生理学的効果に関する論文を紹介します。
中国では伝統的に2型糖尿病および肝臓疾患の治療にタンポポが薬として使用されており、ロシア、インド、トルコ、メキシコでもタンポポは2型糖尿病の予防や民間薬として使用されてきました。
これまで、数々のタンポポと2型糖尿病の治療および予防におけるその可能性に関する研究結果が発表されていますが、デンマークのオーフス大学病院による2型糖尿病におけるタンポポの生理学的効果に関する論文では、タンポポの抗糖尿病特性、化学成分の構造、2型糖尿病におけるそれらの潜在的な作用機序など、タンポポと2型糖尿病の治療および予防における可能性が要約されています。
2型糖尿病の主な要因は、インスリン分泌とインスリン感受性の調節異常であり、これが高血糖と2型糖尿病、血管疾患の発症を引き起こす可能性があります。
引用されている論文は多岐にわたるので、すべてをご紹介することはできませんが、タンポポのチコリ酸、タラキサステロール、クロロゲン酸、セスキテルペンラクトンなどの生理活性化学成分が抗糖尿病作用を持つ可能性があること、タンポポ抽出物が膵臓β細胞でのインスリン放出を刺激し、結果として高血糖の影響を抑制する可能性があること、また、マウスにおいてタンポポ葉の抽出物が脂質蓄積の大幅な減少とインスリン感受性の改善をもたらすことなどが示されています。
筆者らは、タンポポの2型糖尿病における薬理学的、生理学的、生化学的メカニズムの調査において、さらに広範なin vitro、in vivo、および臨床研究が必要であるとしながらも、タンポポには抗高血糖、抗酸化、抗炎症作用があるため重要な抗糖尿病植物と考えられており、糖尿病を調節するための医薬品、栄養補助食品、機能性食品への使用において大きな可能性を秘めていると結論付けています。
欧米では春先に解毒目的でタンポポサラダを食べるのが習慣です。
タンポポにはビタミンA、C、D、E、B、イノシトール、レシチン、鉄、マグネシウム、ナトリウム、カルシウム、ケイ素、銅、リン、亜鉛、マンガンなどのミネラルに加えて、細胞を酸化や細胞損傷から保護するβ-カロチンが豊富に含まれています。
ポリフェノールの濃度は茎よりも花と葉で高いので、タンポポサラダは健康維持におすすめの一品です。
<参照>
■Fonyuy E. Wirngo et al., The Physiological Effects of Dandelion (Taraxacum Officinale) in Type 2 Diabetes, Rev Diabet Stud. 2016 Summer-Fall; 13(2-3): 113–131., Published online 2016 Aug 10. doi: 10.1900/RDS.2016.13.113